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読了: マンガでわかるホルモンの働き

モチベーション

Kindleのセールで見かけた時に「ホルモンって男/女ホルモンとか環境ホルモン、あとはせいぜい内蔵的なホルモンしか知らないなぁ・・・」ってふと思ったのと、女性のホルモン関係はちゃんと理解していないとまずいな、ってことで読んでみた。

本の概要

ホルモンは人間が生きるうえで、成長から体内環境の維持、さらには性の獲得、生殖活動などにおいてきわめて重要は働きを担っています。本書ではこれまで発見された約70種のホルモンから、特に重要と思われるホルモンを選びだし、それぞれの働きから、ホルモン分泌に不具合が生じるとどのような事態が起こるのかなどについて、マンガでわかりやすく解説します。

目次

  • 第1章 ホルモンとはなにか?
    • ホルモンとは?
    • ホルモン発見の歴史
    • ホルモンにもいろいろある
    • 環境ホルモンとは? ほか
  • 第2章 脳内ホルモン(神経伝達物質)とは?
  • 第3章 おもなホルモンとその働き
    • 視床下部はホルモンの中枢器官
    • 下垂体から分泌されるホルモン
    • 成長ホルモンは身体の成長に不可欠なホルモン
    • オキシトシンは恋愛ホルモン? ほか
  • 第4章 性別を決定する性ホルモン
    • 男女の違いは性ホルモンが決める
    • 具体的な性ホルモンとその働き
    • 女性ホルモンは男性ホルモンから生成される
    • 男性ホルモンは精巣から分泌される ほか
  • 第5章 男性ホルモンと更年期障害
    • 男性にも更年期がある?
    • 男性更年期障害の症状は? ほか
  • 第6章 女性ホルモンと更年期障害
    • エストロゲンは女性ホルモンの総称
    • 月経とは子宮の壁が壊されること ほか

ホルモン is 何

ホルモンとは、体内で生成され、特定の器官に対して情報を伝達したり作用をおよぼす化学物質である

※語源はギリシャ語で刺激するもの、呼び覚ますもの、の「ホルマオ」らしい。決して「放おるもん」ではない。

説明としては「範囲広くない??」と思うのだが、その実範囲は本当にめっちゃ広い。インスリンとかアドレナリンとかドーパミンとか、体内で作用する化学物質はもうホルモンである。なお特徴として、ほとんどのホルモンは「経口摂取しても作用しない」とのこと。消化されちゃうので作用しないのだ。そのためインスリンなんかは注射で血中に直接注入する必要がある。なんで注射しなきゃいけないんだろう、と思ってたらそういうことらしい。

ちょっと不思議なホルモンはビタミンD。ビタミンは本来体内で生成できず食物などから摂取するしかないんだけれども、ビタミンDは皮膚で生成できるのでホルモンらしい。へぇー!

環境ホルモン is 何

環境ホルモンの説明の前にホルモンが作用する仕組みを説明する必要がある。

ホルモンが作用するためには、作用対象の器官に「受容体(レセプター)」と呼ばれるものが必要になる。ホルモンが鍵、受容体が鍵穴みたいなものと言うのがわかりやすい。ホルモンは血中などを通って臓器など作用対象の器官にたどりつき、適合する鍵穴である受容体と結びついて作用する。

で、環境ホルモンは何かというと、「鍵穴である受容体にうまいこと適合しちゃうホルモンっぽい物質」なのだ。

環境ホルモンと呼ばれるものが何かしらの理由で体内に入り込んだ場合、それが受容体に到達すると「あ、これ適合するホルモンじゃん」と勘違いして作用してまう。仕組みを聞くと怖いね。

過度なストレスが体に及ぼす悪影響

人には「交感神経」と「副交感神経」でとよばれる自律神経があり、それによって体の調子を保っている。

例えば「急に車が飛び出してきた」という状況の場合、緊急事態に体が対応するため交感神経が優位になり、汗をかいたり心拍数が高まったりして活動の準備が行われる。逆に「お風呂に入っている時」の場合は副交感神経が活発化し、心拍数や血圧が抑制され、体は休息しようとする。

交感神経は体を活発化させるもの、副交感神経は逆に休息させるもの。この相反する神経がバランスよく作用しているのが理想的な状態となる。

ストレスがかかるとどうなるのかというと、これは交感神経のほうが優位になる。

さっきの例でいう「急に車が飛び出してきた」も広義としてはストレスに含まれるのだが、自律神経は体のバランスを保とうとするのでストレスを受けて緊張状態になるとそれを解消するため交感神経のほうが活発化する。

これが適度かつ一時的なストレスであれば問題ないのだが、過度なストレスに長期間さらされると交感神経ばかりが優位になってしまい、副交感神経とのバランスが崩れてしまう。

会社でオーバーワークをさせられたりパワハラを受けていた場合、本来であれば副交感神経に切り替わって休息しているはずのタイミングにもかかわらず、精神的なストレスがかかりっぱなしになり交感神経がずっと優位になったままになってしまう。そうすると体は休息することができず、様々な影響が出てくる。

例えば交感神経が優位な場合、血管が収縮する作用がある。これは本来血圧を上げてストレスに対抗するため体を戦闘モードにするためのものなのだが、この状態が続くと血行が悪くなり頭痛や肩こりを引き起こす。他にも自律神経は胃腸の調整も行っており、交感神経が優位な場合は胃腸での消化を抑制する。その状態が続くと消化不良で下痢をしたり胸やけを起こす。などなど・・・

自律神経が調整している器官は多岐にわたるので、バランスが崩れると体のいたるところで調子が悪くなってしまうのだ。

また、継続したストレスを受けていると人体は「コルチゾール」というホルモンを多量に分泌する。コルチゾールは炎症を抑えたり血糖値の激しい上下を防いでくれる人体に必要なものなのだが、免疫機能を抑制するという作用もある。そのため、継続したストレスにさらされているとコルチゾールの影響で免疫機能が弱り、感染症にかかりやすくなってしまう、といった事も起こりうる。

男性は30歳から、女性は40歳から副交感神経の働きがガクッと下がらしいので、ストレスにはより気をつけていきたい・・・

月経とPMS

長くなってきたので別記事にする。

おすすめの章

第4章 性別を決定する性ホルモン

LGBTがどういうものか分かってはいても、そのような状況がなぜ発生するのかがは全く知らない、という人に読んでほしい。

遺伝的な性別、身体的な性別、性自認、性嗜好がそれぞれどのように決定されていくのか。そしてホルモンがどのように影響してくるのか、というのをざっくりだが理解できるようになる。「幼少期の育った環境とかそういうのじゃないの??」って思っている人は一度読んでみるといいんじゃなかろうか。

第6章 女性ホルモンと更年期障害

月経のメカニズムやPMSの発生原因などを知りたい場合はここ。女性であればすでに調べて理解している人も多いだろうけど、自分の体で起こっている事が何なのか把握するために。男性であっても実体験できない以上、化学的に何が起こっているかを理解するために読んでみるといいと思う。低用量ピルについても同様に解説してあるので、「ピル」と聞いて「避妊用の薬でしょ?」としか思わなかった人は一度読んでみよう。

この本をお勧めする人

  • 自律神経失調症」とかの単語を聞くけど、なにがどう悪くなるのかよくわかってない人
  • 性同一性障害など、性別関連でなぜそのような状態になるのかわからなくて気になってる人
  • 女性の月経、PMSについての知識が薄い人

感想

半ページ漫画、半ページ解説文で読みやすいし、全体的にわかりやすいのでハードルは低い。ページ数も多くないのでササっと読める。

発行がしばらく前のものなので現在の研究結果次第で変わっている部分も多いだろうけど(特に性別に関する部分)、全体的なベース知識は抑えられたと思う。